【目的】著者らが2001年に実施した若年女性の骨量と運動・栄養疫学研究の結果を基礎として、断面的および縦断的(3年間)に環境要因(栄養、運動、成長)と遺伝要因およびその相互作用と骨量との関連性を検討した。【方法】新潟医療福祉大学の女子学生を対象(解析対象者:ベースライン調査88人、フォローアップ調査59人)とした。腰椎、大腿骨頸部、大腿骨近位部の骨塩量と骨密度はdual X-ray absorptiometryを用いて測定した。遺伝子多型は、ビタミンD受容体遺伝子(ApaI、TaqI)をRFLP法にて解析した。現在の身長と体重は標準測定装置を用いて測定、0から3歳時の身長と体重は母子手帳から、6から18歳までの身長と体重は学校検診の記録から入手した。その他、血液検査(血清中のカルシウム代謝関連ホルモン)、カルシウム摂取量調査、過去および現在の運動に関する調査、握力および下肢の最大筋力(脚筋力)測定を行った。【結果】1)Peak bone massの予測要因として、体重、握力、血中副甲状線ホルモン濃度が見出された。2)乳児期および思春期前成長期の体重増加がPeak bone massの予測要因であった。3)ビタミンD受容体Apa1多型におけるAA型が大腿骨頸部骨密度の低下と関連していた。4)ビタミンD受容体遺伝子多型と骨量の維持に関して相互作用は見られなかった。【結論】1)体重の維持、適切な運動および栄養の全てがPeak bone massの最大化に重要である、2)乳児期および思春期前成長期の適切な体重増加がPeak bone massの最大化に重要である、3)ビタミンD受容体Apa1多型におけるAA型を持つ者は、運動およびカルシウム摂取を積極的に行うことが大腿骨頸部骨密度維持のために効果的である。腰椎骨量の関連要因に関しては十分に明らかにされなかったため、今後さらなる研究が必要である。
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