研究概要 |
平成14年に行った調査を元に,引き続き保健体育教諭の死亡率について,データ解析を実施した.調査の内容は,全国全ての全日制高等学校4622校の学校長を対象に質問紙調査を実施し,当該校の在籍教諭と保健体育教諭の性・年齢階級別人数と,平成11年1月から平成13年12月までの3年間に現職で死去した教諭の教科,享年,死因であった.その結果,男性の保健体育教諭は39歳までは他教科より死亡率が低値であったものの,40歳代では逆転が見られた.また,50-54歳代ではほぼ同程度,55-59歳代では高率となり,60-64歳代ではさらに上昇していた.女性の場合,保健体育教諭は45-49歳代に1名の死去が報告されているに過ぎなかった.したがって,男性保健体育教諭は20歳代までは,体力の蓄積もあって,高い水準に維持され運動の機会も多いが,それ以後になると,社会的要因などから運動量が急激に減少するものの,食餌量の制限が伴わないことによるのではないかと考えられた. そこで,保健体育教諭の学生時代と比較した体重増減と生活習慣の認識について質問紙調査を行った.その結果,体重増加と生活習慣病発症との関係は明らかにはならなかったが,年齢が進むにつれて体重増加が強くなる結果であった.また,学生時代と比較して5kg以上の体重増加を示した群では,「運動量の減少」および「食餌量の減少を伴っていない」ことを認識していることが明らかとなった.このように保健体育教諭の生活習慣に関する自己管理が不十分であることが,認識のレベルで明らかとなった. 次年度は,実際に生活習慣がどのように異なるのかに関して,保健体育教諭と他教科教諭との生活習慣(食生活習慣を含む)比較,および身体活動量(日常活動量の測定を含む)比較を試みる.
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