研究概要 |
我が国の学校における健康教育の担い手である保健体育教諭の健康の三要素といわれる栄養、運動、休養・睡眠の習慣と健康を知ることは重要である。そこで1)身体活動に従事する保健体育教諭の健康状態の実態把握,さらに2)現在の健康状態と運動習慣との関連から他教科教諭との健康度の違いについて評価することを目的とするものである。次の3つの調査から検討した 1)全国の高等学校保健体育教諭の在職中の死亡に関する調査 全国の全ての高校への享年、死因についての内容を含む郵送法による調査 2)高等学校保健体育教諭の大学時代からの体重増減と生活習慣の変化認識 某県の全ての高等学校保健体育科に大学時代と比較した体重の増減、睡眠、運動、食事等生活習慣の変化と、現在の健康意識、運動不足感、定期検診結果などの内容を含む郵送法による調査 3)高等学校保健体育教諭の日常活動量とエネルギーの摂取状況調査 協力の得られた3都府県の高等学校教諭29名を対象に、カロリーカウンターによる消費カロリー写真からの摂取カロリーの測定、大学時代からの体格、運動量、食事量の変化についての質問紙法調査を実施した。 次のことが認められた。 1)男性教諭の死亡率は、保体教諭は40歳未満までは他教科教諭よりも低率であるが、40歳以降他教科教諭を超えた 2)男性体育教師は大学時代の体重と比較して5kg以上増加したものは40歳未満52.2%、40歳以上76.1%であった。 3)保体教諭15名と他教科教諭14名のBMIは24.03と24.90、測定期間1週間の1日平均消費カロリーは2383.60kcalと2384.70kca、1日平均摂取カロリーは2158.05kcalと2146.85kcalであり、両群に差を認めなかった。しかし保体教諭の大学時代からの運動量の減少認識著しく、食事量の増加-減少と明らかに違った。特に40歳未満でその差が大きかった。 男性保健体育教諭は特に40歳までの生活、特に運動量に見合った食事のとり方が、40歳以降の不健康状態を招いていることが推察される結果であった。保健体育教諭は健康教育を担当する立場にあり、この栄養と運動のバランスについて実践され、生徒に還元されることが望まれる。 今後は調査3)の対象者数を増やし、さらに詳細な分析を実施していく。
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