研究概要 |
1.咀嚼時の脳血流変化計測 健常者15名(19-30歳女性10名)を対象に連続光型マルチチャンネルシステムを用いて、咀嚼時の近赤外光計測を実施。前頭部広領域(10-20electrode systemのFp1-Fp2ラインからF3-F4ラインに挟まれた領域,14計測箇所)に入射-検出ファイバーを装着し(ファイバー間隔30mm)、切歯で咀嚼する場合についてヘモグロビン(Hb)濃度変化を評価した。なお、昨年度の結果をうけ、被験者間、計測間のばらつきをより少なくするため、タスクパラダイム・計測条件に一部改良を加え検討を進めた。頭頂部におけるHb濃度変化が15例中8例という割合で認められた。また、前額部(Fp1,Fp2近傍)における酸素化Hb(oxy-Hb)の増加を再確認した。 2.認知課題時の脳血流変化計測と咀嚼による影響 語流暢課題(letter condition)遂行時のHb濃度変化(コントロール課題は単純発語-「あいうえお」の繰り返し)について、計測数を増やし引き続き検討を進めた。課題遂行に伴い、15例中12例で、左側を中心とした前頭部(Brodmann's area10野(Fp1,Fp2位置)および左側46野近傍)におけるoxy-Hbの増加を確認した。加えて、語流暢課題のセット間に咀嚼課題を数セット繰り返し行うことにより、課題遂行時のHb濃度変化幅に及ぼす咀嚼の影響を調べた。一部の被験者においで、咀嚼の前後でHb濃度変化幅に差が認められた。しかしながら、緊張度や覚醒度の違いを反映している可能性も考えられるため、同一の被験者に対し1〜2週間の間隔をあけて再度計測を試みた。変化部位については各被験者で概ね再現陸が得られたが、咀噛前後の血流変化幅の違いについて一定の傾向を見いだすには至らなかった。
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