本研究の目的は、ままごと遊び場面で子どもが表出するふり行為を手がかりに、子どもが自分の外に存在する生活文化に関する意味知識を自分の中に意味体系として構築する過程を明らかにすることである。 研究対象者は、公立保育園4園の1歳児クラスに在籍する幼児とその担当保育者である。平成16年6月から平成18年12月まで、各園毎月1回、計240回、午前10時から11時までの約1時間に渡り、自由遊び時間におけるままごと遊びをVTRにより継続観察する。各映像に基づきターゲット児16名(各園4名)の逐語記録を作成し、20種類のままごと道具に対するふり行為の表出について分析を行い、次の結果を得る。 1.1歳児は、2つの道具を組み合わせて遊ぶことが多いことが明らかになる。 彼らのふり行為には、大人と類似している行為と大人とは異なる行為の両方が見られることが明らかになる。 2.2歳児は、2つの道具を組み合わせ、大人と同じようにそれらを扱うことが可能となる。 3.3歳児は、3つ以上の道具を組み合わせ、それらをストーリー的順序性(生活文化の意味体系)にそって扱うことが可能となる。 多くの物の扱い方を理解し、それらの知識(意味)の体系化を図るために、子どもと物の接触経験、他児や保育者の模倣、保育者のかかわりが重要な要因となることが明らかになる。
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