研究課題/領域番号 |
16500482
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
齋藤 昌子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20104086)
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研究分担者 |
長崎 巌 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20155922)
河島 一恵 共立女子大学, 家政学部, 教授 (60086733)
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キーワード | 陣羽織 / 法量 / 形状 / 構成技法 / 緋羅紗 / 色 / 江戸後期 / 染料 |
研究概要 |
艶金興業株式会社墨資料館が収蔵する103領の陣羽織を2度にわたって調査した。その結果、次の成果を得た。 1.陣羽織の形状は、袖を持つものと袖を持たないもののおおむね二種類に分けることができ、調査した陣羽織には圧倒的に後者が多い。陣羽織はその発生当時から袖のあるものとないものがともに存在していたが、江戸時代以前においては袖のあるものは絹製、袖の無いものは麻や紙子といった素材でつくられていた。本研究で調査した陣羽織は袖のないものが多いが、生地は毛織物がほとんどであることからほとんどが江戸時代であることが分かる。また、太刀受けをつけるものがほとんどであり、太刀受け自体が装飾化しているので、江戸時代でも後期作品が多いと判断できる。(長崎) 2.103領という多量の資料が一つの研究施設に保管されていたことは、同じ仕様で調査する上で好都合であった。研究の視座を確認し、染色史学的位置づけを検討する上で、陣羽織の形態、法量、構成技法の調査の結果は基礎となるデータを提示している。 資料の多くは、江戸時代後期のものであるが、背幅(両肩の間隔)と裾幅の比が1対1.2〜1.3という、やや裾広がりの形骸化された形態には、<用の変容>が窺い知れる。(河島) 3.調査した103領のうち、赤色の陣羽織が多数を占めた。その赤色を測定した結果、大きく5色に分類することができた。これまで、陣羽織の赤色は緋色、緋羅紗などと呼ばれていたが、その色を科学的に測定して、数値で表すのは、本研究がはじめてである。今後、これらの染料を化学的に分析して、緋羅紗の色と染料を明らかにしていく予定である。(齋藤)
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