研究課題/領域番号 |
16500482
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
齊藤 昌子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20104086)
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研究分担者 |
長崎 巌 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20155922)
河島 一惠 共立女子大学, 家政学部, 教授 (60086733)
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キーワード | 陣羽織 / 江戸後期 / 緋羅紗 / 染料 / 染色技法 / 構成技法 / 南蛮貿易 / 染織史 |
研究概要 |
墨資料館が収蔵する104領の陣羽織及び共立女子大学が所蔵する2領の陣羽織について、既に得られた研究成果を整理し、全般について把握し、南蛮文化などの海外文化との関連について考察するとともに、染織史学的な立場からの位置づけ、考察を行った。又、黄色染料、紫色染料の高速液体クロマトグラフィによる分析を行った。 調査した陣羽織は、形態的な特徴からそのほとんどが江戸時代の制作で、加飾技法にはボタンと受け緒などの日本衣服文化と西洋衣服文化の混成がみられる。又、染料及び媒染剤の分析から、赤色染料はコチニール、ラック、ラックとコチニールの重ね染め、コチニールと西洋茜の重ね染めで、ケルメスは検出されなかった。又、コチニールによる赤色染織布には紫色系の赤色と黄色系の赤色があり、紫色系の赤色には媒染剤としてアルミニウムが、黄色系の赤色にはアルミニウムとスズが用いられていることが判明した。年代的には、まず紫色系の赤色が先に作られ、その後黄色系の赤色へと変化したことが、陣羽織の形状などから判明した。これらのことは、1670年頃オランダ人コルネリウス・ドレッペルがコチニールをスズ媒染することで、黄色味の強い赤色に染色できることを発見したことと時期的に一致した。これらの成果から、その当時のヨーロッパにおける染料、染色技法、製織技法が明らかになった。
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