研究課題/領域番号 |
16500485
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
佐々井 啓 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60017241)
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研究分担者 |
徳井 淑子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (80172146)
横川 公子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (50090923)
柴田 美恵 千葉大学, 教育学部, 教授 (70017234)
森 理恵 京都府立大学, 人間環境学部, 助教授 (00269820)
松尾 量子 山口県立大学, 生活科学部, 講師 (40205274)
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キーワード | ジェンダー / New Women / 異性装 / 阿国歌舞伎 |
研究概要 |
本年度は昨年度に引き続き各自研究を推進し、研究会で意見の交換を行った。各自の研究実績は次の通り。 ・19世紀末のイギリスのNew Womenについて、当時上演された‘The New Woman'をとりあげ、舞台衣装におけるNew Womanの服飾表現の特徴について考察した。 ・新しいファッションは過去の事物の引用の上に成り立っていることをヨーロッパの女性服飾の歴史によって検証し、ただしファッションとして成立させるには新しい価値の創造が必要であることを解いた。 ・17世紀初頭英国の女性の異性装について、女性は男性用の胴衣とされたダブレットの着用によって男装と見なされたこと、ダブレットが子どもの服飾においても男性性を示すものであったことに着目して考察を行った。 ・19世紀後半のヴィクトリア期における文学に表現された女性像について検討した。小説『ダーバヴィル家のテス』における主人公テスの新しい女性の生き方と服飾表現を、当時のジェンダーにとらわれた服飾観を通して考察した。 ・19世紀後半イギリス女性のスポーツとその服飾について検討した。銃猟の流行からスポーツに応じた機能的な服飾を着用することで、現代につながる女性の新たな服飾観が発生したことを見出した。 ・平安末期〜鎌倉初期に共通する女性作家による女性優位の発想の物語『とりかえばや』は、姉弟間で男女を入替え、とりわけ姉が栄耀を尽くす。それは類まれな異装による到達であり、同時代の装いのジェンダー的な意味を多面的に示唆するものと思われる。 ・日本近世初期の阿国歌舞伎の装いについて、引き続き阿国の男装と風流としての男子の女装をとりあげ、服飾における両性の接近についてさらに考察を進めた。 ・17世紀初期日本の風俗を詳細に描写した同時代資料である「歌舞伎図巻」から、男性の髪型と服装には関連があることが認められ、服装の流行をリードする社会集団を特定できた。
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