研究概要 |
本年度の研究実施計画は、(1)2歳児の追跡研究(質問紙調査)、(2)3歳児の家庭訪問(面接調査)、(3)養育支援プログラムの開発、(4)研究成果の発表、の4点であった。 それぞれについての結果と概要は以下の通りである。 (1)2歳児の追跡研究は3歳時点での調査を完了した。最終的な収集データ数は約100名であった。1歳から3歳までを追跡した縦断データは、おそらく日本では初めての組織的なものと考えられる。これらのデータ分析と成果の発表は順次実施する予定である。 (2)3歳児の家庭訪問は最終的に5組の親子を対象として、各ケースとも36か月過ぎまで継続実施された。1か月半に1度という短期の測定間隔による複数のデータを蓄積することによって、発達のメカニズムを記述可能な段階に到達した。現在、投稿論文として準備中である。さらに、親子システムの変化プロセスを記述することにより、この時期の親子関係の再構築が適切に進行しないケースに対する援助のポイントが、把握可能になったと考えられる。 (3)養育支援プログラムの開発については、「反抗期(いやいや期)の子どもをもつ親支援のためのリーフレット」を作成した。リーフレットの基礎資料となる1歳から3歳までの追跡データの収集完了が平成18年1月末であったため、このリーフレットを活用した実際のプログラムの検討は今後の課題として残った。なお市町村や区の子育て支援センター、児童相談所、保健センターなどに配布・活用のためのネットワークを構築中であり、このネットワークにリーフレットをのせる予定である。 (4)本研究の成果は、国際学会(Society for Research in Child Development,2005)1件および国内学会(日本発達心理学会,2006)3件、合計4件のポスター発表にまとめられた。さらに学術論文1件を含む2件も成果として刊行された。
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