研究概要 |
平成16年度は、幼児におけるパソコンを独占的に使用することの問題や入力機器の問題を解決するために,タッチパネル付きプラズマディスプレイを利用した幼児用ソフトウェアの設計・試作・試用・観察を行った.また,教員用に手書き文字で電子メールのやり取りができるソフトウェアを試作するために,既存の手書き電子メールを用いて調査を行い,その問題点を検討した. 幼児用ソフトウェアの設計・試作・試用・観察では,幼稚園の先生からの意見や,過去の観察から分かった問題点を検討し,4つの設計指針を提案した.提案した設計指針とは,音声による指示,幼児の興味を引く工夫,仮想世界と現実世界を結びつける工夫,2点をタッチすることでドラッグ操作と同様の操作を実現する2点タッチ操作の採用である.これらの設計指針に基づき,予測する力を自然に養えるジャンケンを楽しみながら覚えることを目的としたジャンケンゲーム,片づけを楽しく遊びながら学ぶことを目的としたお片付けゲーム,記憶力の育成を目的とした大砲ゲームを試作した.これら試作したソフトウェアを用いて,実際の幼稚園の保育の時間に年少(3〜4歳児)2クラスを対象として,試用・観察を行った.観察により,提案した設計指針の有用性が示唆された. 既存の手書き電子メールの調査では,幼児教育関係者らを対象として,ペン入力タブレットを用いて既存の手書き電子メールを使用していただき,幼稚園における電子メール利用の現状や使用感等に関するアンケートを行った.その結果,被験者から,現時点では幼稚園教員間ではあまり電子メールを使用していないが,キーボードとペン入力タブレットを併用した環境で,容易に利用できる電子メールがあれば今後利用したいなどの意見をいただいた.
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