研究課題
基盤研究(C)
本研究において、運動時における発汗量の増加は衣服内湿度を上昇させるが、その上昇が快適感に影響するとともに、衣服内湿度/発汗量の比が部位別衣服換気量と強く関連することを見出した。これらの結果は、熱放散効率の優れた衣服の設計において、衣服内と環境間で部位ごとの発汗量を蒸散できる換気量(衣服換気必要量)を保てるように、素材布、衣服の型(開口部・ゆとり)などを状況に応じて意図的に調節できるようにすることが重要であることを示している。そこで、試作した換気量測定装置により身体多部位で衣服換気量を測定し、無風・向い風、立位・歩行を組み合わせた4条件において、素材布の通気性の改善、襟・裾・袖などの開口、着用者が適合する範囲内のゆとりが身体各部の衣服換気量に及ぼす影響を検討した。その結果、衣服換気量は、風や動作で修飾されるものの、本実験の範囲内では素材布の通気性改善により背、上腕、下腿で、襟・裾・袖の開口により躯幹部及び上肢部で、ゆとり量の増加により四肢部で促進されることが見出された。これら部位別衣服換気量の知見に基づいて衣服を設計する場合、実用場面での部位別発汗量から求めた発汗蒸散に必要な衣服換気必要量を指標にして衣服換気量を評価することが望ましい。しかし、実際の作業・スポーツ場面で部位別発汗量を測定することはきわめて難しい。そこで、若年成人8名に運動強度の異なる30分間の自転車運動を3回負荷し、その際の総発汗量と身体4部位の局所発汗量を測定し、総発汗量から各部位の局所発汗量を推定する式を提示した。この式は、実際の作業・スポーツ場面での総発汗量から各部位の発汗量、ひいては衣服換気必要量が推定でき、その場面に応じた衣服設計の効率化に大きく貢献できるものと考えられる。
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International Journal of Clothing Science and Technology Feb.6 (in press)
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