研究課題/領域番号 |
16500500
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研究機関 | 福山市立女子短期大学 |
研究代表者 |
加納 三千子 福山市立女子短期大学, 生活学科, 教授 (40087929)
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研究分担者 |
安川 悦子 福山市立女子短期大学, 学長 (90071034)
藤井 輝明 福山市立女子短期大学, 教授 (20141690)
西川 龍也 福山市立女子短期大学, 助教授 (90249582)
筒井 由紀子 福山市立女子短期大学, 教授 (90087924)
津島 順子 福山市立女子短期大学, 講師 (70321213)
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キーワード | 高齢者の生活 / サステナビリティ / 生活時間調査 / 健康 / 労働 / コミュニケーション / コミュニティ / 生活の社会化 |
研究概要 |
自立した高齢者の生活のサステナビリティのための課題を明らかにするため、福山市の都市構造の分析、福山市・島根県広瀬町(現安来市)・名古屋市の高齢者の生活実態の分析、アメリカと中国の高齢者の面接調査等を行い、次のような点を明らかにした。 1.中国で面接調査を行った高齢者は、施設に入っている比較的高学歴の人たちであった。生活の社会化がシステムとして成立していた中国においては、高齢期を迎えても親が子どもから自立して暮らそうとする姿勢が伺えた。しかし、資本主義経済システムの導入により、戦後のアメリカや高度経済成長期の日本で行われたように、生活が個々の家庭に囲い込まれはじめていた。これらにより新たな施設が求められていることも伺えた。 2.日本が戦後の生活モデルとしてきたアメリカ、中でも福山市と産業構造や都市構造が非常によく似たペンシルベニア州のレビットタウンとその周辺都市の高齢者施設の見学やヒヤリングにより、近い将来のわが国での課題が明らかになった。すなわち、(1)住み替えが前提となっているアメリカの郊外専用住宅地では、高齢者が孤立しないよう地域でのサークル活動やボランティア活動がNPOにより推進されていた。また、公的交通手段は自家用車の利用が困難な高齢者や低所得者層が対象となる福祉的な課題が存在していた。(2)旧市街地は郊外の開発により居住者のほとんどは黒人で低所得者層が居住していた。これらのことは少子化に伴う外国人労働力の導入が論議されている日本においても、今後深な問題となるであろうことが予測された。(3)日本と同様にアメリカにおいても、高齢者が過去の職業経験を生かしたボランティアを行ったりパート労働を行うなど、サクセスフルエイジングからプロダクティヴエイジングへの方向の必然性がみられた。 3.以上のことから、プロダクティヴエイジングと生活の社会化は高齢者の自立した生活を支える普遍的な課題であることが分かった。これらを踏まえたコミュニティビジネスの創成による高齢者の生活環境の再構築が、自立した高齢者の生活のサステナビリティのための課題であると考える。
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