シイタケ由来の多糖であるレンチナンは、宿主介在により抗腫瘍性を示すことは、よく知られている。しかし、その分子量は40万〜80万の高分子体であり、これを経口摂取した際、どのようにして免疫応答系細胞を活性化するのかは不明である。本研究では、免疫応答で重要な働きをしている小腸上皮細胞を介したマクロファージ活性化による抗腫瘍活性機構について、活性酸素の関与を含め検討した。小腸上皮細胞系であるcaco2細胞をapical(粘膜)側に、マクロファージ細胞系であるRAW264.7系をbasolateral(基底膜)側に配置する共存培養モデルを用い、in vitro系でレンチナンの免疫賦活作用機構を検討した。また、活性酸素の関与を検討するため、抗酸化酵素を添加した際のTNF-α産生量も測定した。Caco2細胞およびRAW264.7細胞それぞれをレンチナン(50μg/ml)で直接刺激した場合には、どちらの細胞からもTNF-α産生は誘導されなかったが、共培養系において、apical側からレンチナンを添加すると、basolateral側で、TNF-αの産生量は、700pgまで上昇した。一方、同じ系においてbasolateral側に抗酸化酵素であるSuperoxide dismutaseを添加しても全く産生は抑制されなかったが、Catalaseを添加すると完全に抑制された。以上のことから、高分子多糖は小腸上皮細胞を介して、マクロファージを活性化することが明らかとなった。また、その際には、過酸化水素が関与していることが示唆された。
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