研究概要 |
本研究では、粥調製の簡便化の方策として粥の冷凍保存を試み、保存温度、保存形態,保存重量などを変え、最良の保存条件を明らかにすることを目的とした。 冷凍保存粥の殆んどが、破断強度測定、テクスチャー測定において炊きたての粥よりかたく、付着性が大きいという結果になった。これには、粥凍結時の最大氷結晶生成帯通過時間が対応していた。通過時間が長いほど氷結晶が大きくなり、粥飯の組織を破壊して糊状となり、付着性が大きくなった影響で、かたく測定されたものと推察された。保存条件別では、保存温度は-20℃より-40℃、保存形態は冷凍保存用容器に入れた塊状態より冷凍保存用袋に入れたシート状、保存重量は200gより100gの方がかたさ応力、付着性が小さく、炊きたての粥に近い性状であった。粥の形状観察では、-40℃・シート状、-20℃・シート状・100gが炊きたての粥に近い形状であり、-20℃・塊は飯粒の表面がかなり崩れていた。また、画像解析による粥飯粒の面積分布をみると、-20℃・塊・200gに、面積の小さな粥飯粒が多く存在し、これらが粥のテクスチャーに影響を与えたものと考えられた。官能検査では、殆んどの粥が炊きたての粥と比較して、粒の形が残っておらず、粒々感がなく、粘りが強く、さらさら感がないと評価され、物性測定の結果と対応していた。-40℃・シート状・100gの冷凍保存粥では、総合評価で炊きたての粥との差が認められず、物性測定の結果も含めて総合的に判断すると、この保存条件の粥が炊きたての粥に最も近い性状であると考えられた。以上の結果から,粥の冷凍保存条件としては-40℃・シート状が望ましいと考えた。
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