食事性の骨量低下抑制因子として確立されている大豆イソフラボンの主な作用機序は、エストロゲン受容体機能を経由した破骨細胞増殖抑制による骨吸収抑制およびシグナルタンパク質のイソプレノイド化を介した骨形成サイトカインの発現亢進である。一方、一酸化窒素(NO)はエストロゲンによる骨代謝調節作用を増強し、またイソプレノイド産生を調節し、骨吸収の抑制および骨形成の促進に有効である可能性が報告されている。本研究の目的は、イソフラボンとNO供与体のアルギニン同時摂取が加齢性骨粗鬆症モデルラットの骨に相乗的に作用して骨量を増加するかどうかを確認することである。本研究目的達成のために24ヶ月齢のウィスター系メスラットの卵巣を摘除し、高齢期骨粗鬆症を作成した。このラットに、20%カゼインタンパク質食を基礎食として、若齢期卵巣摘除ラットの骨量低下抑制効果が確認されている1日当たり13mgのイソフラボン抽出物(ソヤフラボンHG)および成熟期ラットの一酸化窒素(NO)産生および腎機能を高めることが確認されている1日当たり130mgのL-アルギニンを同時に添加した飼料を、1日13gの制限食条件で、投与した。飼育期間は、12週間とした。実験動物が加齢ラットのため、同時大量入手が困難なため、全4期に分けて実験をおこなっている。現在、第1期飼育が最終週に達しているが、大腿骨、骨代謝マーカー等の測定は始まっていない。平成17年度中に全てのラット飼育が完了し、大腿骨遠位端部における骨代謝関連遺伝子発現を測定する予定である。 現在までのところ、ラットの摂食量、体重変化は、イソフラボンおよびアルギニン摂取の有無による有意な違いは観察されていない。また、飼育途中の死亡数にもイソフラボンあるいはアルギニンの影響は観察されていない。
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