<研究目的> 本研究は、近世・近代の料理書、近世の随筆、黄表紙、各家に残る婚礼・客膳料理に関する食事記録など、視点の異なる史料から献立の形式・内容を分析することにより、次のことを明らかにすることを目的とする。 1)会席料理の成立に関わると考えられる即席料理形式の特徴を黄表紙・随筆類、明治以降の料理書等を調査することで明らかにする。 2)料理屋の会席料理の事例を収集し、1)とあわせその成立時期を明らかにする。 3)本膳料理を中心とした各地域の婚礼献立を収集・調査し、時代、地域による饗宴の形態の特徴を明らかにし、その饗宴の形態に会席料理形式が浸透する時期と地域とを明らかにする。以上の結果より、会席料理形式と本膳料理形式との関連性を解明する。 <平成17年度研究結果・考察> 交付2年目は、近代以降の料理書が充分蒐集されていないために、この蒐集につとめ、東京家政学院大学大江文庫に所蔵される料理書とともに料理屋の形式である「会席料理」など、料理形式について記述のある資料を調査し、これをスキャンして、CD-R資料を作成した。また、婚礼などの本来本膳料理形式で供される儀礼食も明治以降、次第に料理屋による仕出しなどにより料理屋の形式である会席料理形式に変化している様子が事例研究より明らかになり、その一部を日本調理科学会誌に公表した。
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