研究課題/領域番号 |
16500521
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
川野 因 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (80277681)
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研究分担者 |
樫村 修生 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (40161020)
田中 越郎 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (80211366)
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キーワード | 栄養学 / 行動学 / 長距離選手 / スポーツ貧血 / 食育 |
研究概要 |
大学男子陸上長距離選手47名を対象に、食事に対する意識および食物摂取頻度調査票(FFQg)を用いた栄養素等摂取状況を平成17年5月から半年間にわたって実施した。この間、水分摂取や日常食生活に関する講義を行なうとともに、食事や食品に関する情報を選手が生活する寮内の食堂に掲示・提供するとともに、提供した情報がどの程度周知・理解されたかを評価することを目的として、5月から9月期まで8月合宿期を除く毎月、アンケート調査を実施した。食教育には、一食あたりの御飯の盛り付け量の提示や講義による食知識の提供、食物摂取状況調査結果の返却、復習テストを活用した。 結果、食生活における選手の食生活実態(n=30)は食事を選ぶ基準として5月期から9月期が「値段」を第一位にあげる選手が40.0%と最も多く、「栄養バランス」と答える選手は10%-20%であった。一日あたりのエネルギーおよび栄養素摂取量は5月期に比べ6-7月期で穀類、いも類、豆類、果物類、野菜類、肉類摂取量が増加し、菓子類および卵類摂取量は低下した。また、たんぱく質、炭水化物、ビタミンB群、Cおよびカルシウム摂取量は漸増した。このとき、牛乳やヨーグルトといった具体的食品摂取と栄養素摂取が一致するものは、改善が容易であることが観察された。 しかし、選手は月曜日から土曜日まで寮食をとっているため、1)日常食に対する意識・配慮は不要で、それゆえ、高くなく、2)食教育で得た知識を実践する機会が少なく、3)食品購入時は「値段」が気になると答えたことは、食教育を実施する際には対象者の食環境や経済環境への配慮、また、5月から7月までに改善が見られた食生活も、合宿を挟んだ9月期には5月期の生活に戻った選手が多かったことから、行動変容段階モデルにおける前関心期選手に対する食生活の定着とサポートには、毎月の継続的支援が重要になることが明らかになった。
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