研究概要 |
今年度は,上記研究課題を達成する為,次の2点を中心に検討した。 (1)調理条件の違いによる変異原物質の生成量の違い 次に示す異なった調理条件i)煮る,ii)焼く,iii)揚げるにおける変異原物質の生成量の違いについて検討した。即ち,タンパク性食品の食品加工・調理時に生成される変異原物質は,主にヘテロサイクリックアミシ類であることが知られており,これら一連の物質は薬物代謝酵素群によって活性化を受け変異原性を誘発する事が知られている。そこで,上記目的を達成する為に,モデルケースとして豚肉を用いたメニュー,豚汁,生姜焼き,トンカツを実際に調製して変異原物質の生成量を定量した。測定法は,比色法を用いるumu-testで実施した。食品中に生成される変異原物質は多様であるので,得られた測定値をTrp-P1量に換算して多少を比較した。 その結果,高温処理法である「焼く」や「揚げる」で処理した際に予想通り変異原物質の生成量が高い事が分かった。また,モデルケースとして豚肉のみをそれぞれの調理条件で処理するよりも,加熱処理条件は同じで野菜や香辛料を添加して処理した時の方が変異原物質量は低下した。 (2)生活習慣や事摂取内容の違いによる尿中の変異原物質量の違い 実際の食生活において,各種食品を摂取した際に,どの程度の変異原物質に曝露しているのかを検討するために食事由来の尿中の変異原物質量を測定した(5時間以上の絶食後,食事摂取前に排尿を済ませ食後5時間の尿を全て回収した)。 初年度は,食事内容由来の変異原物質は食後何時問程度で尿中に排泄されるか検討した。その結果,どの被験者も食後5時間以内に排泄が完了し,5時問後にはベースラインに戻る事が分かった。次に,生活習慣の違いによる変異原物質の曝露量(尿中の排泄量)を比較した。その結果,喫煙者(2名)と非喫煙者(3名)を比較した際に,喫煙者の方が有意に高い値を示した。
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