研究概要 |
1981年以来,ガンは日本人を始め先進諸国の死亡原因の上位を占め続けている。この発症要因としては,生活環境特に「喫煙」と「食生活」が最も大きな率を占めている。一方,昨今の食品の第三次機能のドラスチックな研究により食生活内容に気をつけることでガンを予防できる可能性が高い事も分ってきた。しかし,これら内容が試験管レベルの実験や疫学調査の結果より明らかになればなるほど,食品因子がどの程度の割合で発ガンや抗発ガンに関与しているのかと事が疑問としてついてくる。そこで,本研究課題としてはその問題を明らかするために次の2点について検討を加え,次の事を明らかにした。 1)調理条件の違いによる変異原物質の生成量の違い 魚や肉などのタンパク質食品を焼いた時に,焦げ中に変異原物質/発ガン物質であるヘテロサイクリックアミン類が生成されている事はよく知られている。これら食品を摂取した際の発ガン性への危険度を確認する目的で,豚肉を実際に調理した際に変異派物質がどの程度生成するか調べた。 豚肉を加熱した例では,180℃で加熱した場合に予想通り加熱時間と共に変異原性は上昇した。また,調理法を比較した場合では,揚げるや焼く場合は変異原性を多く生成するが,煮る場合では殆ど変異原性は上昇しなかった。また,ニンジンなどの野菜を添加して料理した場合や香辛料,調味料を添加した場合にも生成量は抑えられる傾向にあった。今回使用した食材を全て使用して実際に焼肉を作成したが,その変異原性の生成量は添加したものの中で最も高い抑制串と同程度抑えられた。 2)生活習慣や食事摂取内容の違いによる尿中の変異原物質量の違い 実際に様々に調理した食べ物を摂取した際にその食事内容由来で排泄された尿中の変異原性を測定し,内容と変異原性の曝露状態を比較した。焼くや揚げたものなど高温で処理したものを食した際に尿中の変異原性は高くなった。また,試験管レベルで抗変異原性を示した「薬味」を食した際にも尿中の変異原性は低下した。
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