本研究は、赤身魚および多獲性赤身魚の加工品や加工品エキスに注目し、それらのヒスチジン供給源としての有用性と、経口摂取による肥満防止効果を調べることを目的としている。 今年度、水産練り製品、カツオ節およびカツオ節より製造したカツオだしに着目し、そのヒスチジン供給源としての有用性を検討した。 (1)水産練り製品製造過程におけるヒスチジン量の変化と流出したヒスチジンの有効利用 水産練り製品の製造過程においては、水晒し工程においてヒスチジンが流出していた。このことより、水晒し液を回収し、ヒスチジン供給源として再利用を検討すべきであると考察された。 (2)カツオ節およびカツオだし製造過程におけるヒスチジン量の変化 カツオよりカツオ節を製造する過程において、熱水で洗浄する過程において、ヒスチジンが流出しているものの、カツオ節タンパク質には約5%のヒスチジンが含まれており、カツオ節も有用なヒスチジン供給源であると考えられた。前年度報告した様に、熱水洗浄過程で流出したヒスチジンに関しては、回収することによりヒスチジン供給源として有効利用できることが示されている。カツオ節からカツオだしを製造する過程では、カツオ節から抽出されたヒスチジンがカツオだしに濃縮されて含まれており、カツオだしは有効なヒスチジン供給源であると考えられた。 (3)カツオ節のヒスチジン供給源としての有用性 カツオ節をタンパク質源とした飼料(カツオ節群)を用いて、Wistar系オスラットを飼育した。コントロールとしてはカゼインをタンパク質源とした飼料(コントロール食群)を用いた。単一飼料を用いた飼育実験では、カツオ節食群ラットの摂食量はコントロール食群ラットのそれと有意な差は認められなかった。現在、飼料を選択できるカフェテリア方式を用いた実験を行っている。 (4)カツオだしのヒスチジン供給源としての有用性 カツオだしをタンパク質源とした飼料(カツオだし群)を用いて、Wistar系オスラットを飼育した。コントロールとしてはカゼインをタンパク質源とした飼料(コントロール食群)を用いた。カツオだし群ラットを飼料摂取量はコントロール食群ラットのそれより有意に少なかった。また、カツオだし群ラットの体脂肪量は、コントロール食群ラットのそれよりも少ない傾向が認められた。
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