本研究は、赤身魚および多獲性赤身魚の加工品や加工品エキスに注目し、それらのヒスチジン供給源としての有用性と、経口摂取による肥満防止効果を調べることを目的としている。 前年度までに、赤身魚および多獲性赤身魚の加工品や加工品エキスとして、かつお節製造工程で得られるヒスチジン含量の高い呈味素材(タンパク質中ヒスチジン量が17%)や燻乾品(かつお節)とそのエキス(だし汁)に着目し、そのヒスチジン供給源としての有用性を検討した。また、水産練り製品では、多獲性赤身魚を原料とした製品にヒスチジンが多く含まれていた。今年度は、よりヒスチジン含量の高い燻乾品(かつお節など)およびその加工品エキス(だし汁)の製法について検討した。さらに有用なヒスチジン供給源の経口摂取による肥満防止作用について、動物実験およびヒトを対象とした介入試験を行い検討した。 かつお節の製造工程での水晒し時間を少なくすることによりタンパク質中のヒスチジン含量が高いかつお節を製造することができた。また動物実験を行い、このかつお節は従来のかつお節よりも摂食抑制作用が高いことがわかった。一方、だし汁を製造する過程で生じるかっお節残渣をプロテアーゼを用いて加水分解すると、遊離ヒスチジン量が多いエキスを製造することができた。また、このエキスを煮干に添加して乾燥すると、ヒスチジン含量の高い煮干を製造することが出来た。今までの結果より、タンパク質中ヒスチジン量が最も高かった、かつお節製造工程で得られるヒスチジン含量の高い呈味素材の経口摂取による肥満防止および解消作用を、ヒトを対象とした介入試験を行い調べた。その結果、エネルギー摂取量の減少や体脂肪率の低下等の有効な肥満防止および解消作用が観察された。
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