研究概要 |
高齢社会の進行は,農業においては農業従事者の高齢化,農業労働における女性就労者の増加という問題を引き起こしている。このような高齢農業従事者の疲労とその軽減対策は農村保健における重要な研究課題となっている。本研究においては,これまで実施してきた山口県大島郡内の柑橘類栽培農家を対象とした疲労調査結果および健康状況を含めた生活環境要因と疲労との関連性に関する研究結果を踏まえ,高齢農業従事者の健康を規定する生活環境要因について,食生活を含む生活習慣と疾病との関連,食習慣と高齢者の健康の問題,農作業による身体的疲労の原因と考えられる作業負担調査による総合的解析を行うことにより,社会的支援(social support)としての食生活改善の意義について疲労軽減対策も含めた高齢農業従事者の健康に対する方策を明らかにすることを目的とする。 17年度は山口県内の柑橘類栽培農家を対象に農村生活総合研究センターによる改定版疲労調査票を用いた疲労に関するアンケート調査を基本健康診査に合わせて実施し、現在解析中である。また、作業負担と健康状態,疲労に及ぼす食事摂取状況の影響について総合的に判定できる実験モデルを考案し、健康な若年者を被験者として、現地農作業に基づいた模擬実験を行った。農作業負荷時における血糖値および乳酸値を測定し、作業負担と健康状態,疲労に及ぼす食事摂取状況の影響について検討した。予備実験の結果より、高齢被験者を対象とした疲労状況測定実験の実施のためには更に実験方法の修正が必要であることが明らかになった。また、研究活動推進に関連のある研修会へ参加・研修し,課題達成の一助とした。
|