研究概要 |
[目的]閉経後女性の骨代謝及び脂質代謝に及ぼす大豆イソフラボン摂取とウオーキングの併用効果を調べる目的で1年間のヒト介入試験を実施する。 [方法]対象者は閉経後1年以上かつ5年以下の健常女性とした。試験は当研究所「人を対象とする実験・調査等に関する倫理指針」に基づくとともに,十分なインフォームドコンセントを行なった上で開始した。[試験群]上記被験者を無作為に1)対象群、2)イソフラボン摂取群、3)運動群、4)イソフラボン摂取+運動群に分けた。[イソフラボンの摂取]大豆イソフラボン配糖体カプセルを毎日摂取する。対照群および運動群はプラセボカプセルを摂取する。[運動の実施]運動はウォーキング種目を選ぶ。週3回、毎回45分とする。[測定項目]以下の項目について6カ月および1年後の測定を行なった。DXA法により身体組成を計測した。血中骨形成マーカー,尿中骨吸収マーカー,血清脂質の測定,血中エストラジオールの測定を行なった。 [結果]137名の被験者を募集し、6ヶ月および1年後の測定を行なった。血中エストロゲン濃度はイソフラボン摂取により影響を受けなかった。血中及び尿中骨代謝マーカー,血中脂質濃度,骨密度は群間で有意な差は認められなかった。血中及び尿中イソフラボン濃度はイソフラボン摂取群で有意に上昇し、エクオール産生者の血中および尿中エクオール濃度は非産生者に比べて有意に高かった。骨密度は大腿骨頸部で運動の効果が、Ward's三角部で運動およびイソフラボンによる効果が認められたが、併用群の効果が最も強かった。全身および体幹部の脂肪重量は、対照群では増加傾向を示したが、運動により3ヶ月目から有意に低下した。四肢の脂肪重量は6ヶ月目から低下した。 [結論]閉経後女性の骨代謝および脂質代謝は運動と食生活により改善される可能性が示唆された。
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