研究概要 |
本研究は,従前から小学校図画工作科の木工作において無造作に漠然と使用されてきた,電動糸鋸盤の技能習熟に関する実験的研究である.すなわち,電動糸鋸盤を用いた鋸断作業は誰にでも比較的簡単にできるため,正しい使用方法や技能向上に関する指導方法の研究は,図画工作教育関係者は言うに及ばず技術教育研究者からも一切なかった. そこで,電動糸鋸盤の操作時に手の指にかかる指圧をリアルタイムで測定し,その指圧の変化と実際の作業映像をシンクロさせることによって,作業の熟練者と未熟練者の差異を見出し,その知見を通して電動糸鋸盤による鋸断作業の指導に役立てることを本研究の最終目標にしている. 本年度はゴム製の小型圧力センサ(製品名イナストマーSF-R3,イナバゴム社製)10本からの圧力を同時に測定するためのハードウェアとソフトウェアの開発を行った.測定用回路はOPアンプによるボルテージフォロワであり,圧力100g〜2000gまで出力された電圧の測定を10ch分(10指)行うことによって,指圧測定を行なうことができる.センサの特性データをもとに,比較的圧力が小さい場合と大きい場合でそれぞれy=cx^b(累乗近似),y=dln(x)+e(対数近似)を用い,双方とも最小2乗法を用いて近似した(b,c,d,eは係数).データはエクセルを用い処理することができるようにした. ゴム系圧力センサ特有の問題(同一荷重でも時間経過に伴って抵抗値が変化する)を解決しなければならないが,本ハードウェアとソフトウェアを用いることによって,定性的なすなわち10指間の力の大小が比較できる. 次年度は今回の成果を用い,被験者を用いて実験を行い,関連学会において報告する.
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