研究概要 |
本年度は,里海環境の実際を現地調査した。現地は,江田島市と竹原市の2地域である。計画を立てて実施を9月と予定していたが,8月から10月にかけて台風が襲来したため大幅に予定を変更せざるを得なかった。したがって,竹原地域においては,主に生物と環境について調査した。生物は,潮間帯中心で干潟に生息する生物をリストアップしている。さらに,瀬戸内海で良く見られるウミホタルについて,冬期に向かって観察される時期を調査した。本年は,12月初旬まで観察された。17年度に向けて春季は何時ごろから観察されるか調査中である。賀茂川河口域におけるシオマネキについては,17年度何時ごろから見られるか調査中である。潮間帯の種はおおむね瀬戸内海の中央部に見られるものが主体であった。アマモ場についても陸上からアクセスできる海域を調査継続中である。江田島市は環境館が対応して下さり,継続的な研究が可能になった。環境館は江田島市地域のコア施設ともなりうるもので,近隣海域の生物表標本を継続的に収集している施設であり学習・体験活動が可能な施設である。江田島市におけるエコミュージアムとしての景観,自然環境,特筆する生物などについて調査を開始した。環境館の周辺では数箇所の地域が確認できた。生物としては,タマゴフタツクラゲモドキが観察され,夜間の発光生物が冬季だけでなく継続的に見られるか調査中である。干潟特有のハクセンシオマネキなどの生息域も確認できている。アマモ場,砂浜なども瀬戸内海に残された自然のものが多く観察地として適地であるのではないかとの結果が出ている。底引き網を江田島沖で実施し学生に体験活動として参加してもらった。結果は,非常に好評で,潮間帯と海底での生物種の違いに驚く一方でゴミの多さにも驚いていた。これらのことは環境教育とも関連し,生涯活動として体験していただく重要なポイントと思われた。
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