研究概要 |
高等教育における,物質科学教育用総合実験教材を開発するための基礎的研究として,本年度は(1)物質の磁気的,電気的性質についての実験教材として磁気天秤の開発と教材化,(2)物質と電磁波の相互作用による諸現象を考察する実験教材として電波吸収体を用いたマイクロ波の反射,透過,吸収実験教材の開発,(3)物質の熱化学反応についての実験教材の開発を行った。 (1)教育用高温磁気天秤の開発と教材化 磁場0〜9kOe,温度範囲77K〜1300Kので磁性体の磁化曲線,及び磁化の温度依存を測定する磁気天秤を製作し,鉄属元素,希土類元素,及びその化合物を用いて,物質の磁気的性質を理解するための実験教材の検討を行った。本装置では,鉄,ニッケル,コバルト等の典型的な強磁性体や,各種反強磁性体の磁化過程,磁気相転移温度の考察が可能である。 (2)電波吸収体を用いたマイクロ波の透過,反射,吸収特性実験教材の開発 電磁波は直接感知することができないため,波動としての性質や物質との相互作用を理解することが比較的困難である。可視光線による種々の教材に加えて,マイクロ波を用いて反射,透過,回折等の波動の性質と電磁波の吸収を測定し,電磁波動の性質を理解するための教材開発を行った。本教材は近年,携帯電話やマイクロ波通信などの発達に伴い,社会問題化している電磁干渉や電波障害などの現象を理解する電磁環境教育用教材としても利用かのうである。 (3)熱測定における実験教材の開発 物質の熱的性質や,熱分解反応を測定・解析する手法を用いた実験教材を開発し,熱分解反応におけるいくつかの典型物質,及び(当該反応を学習するのに適した物質とその反応)を提案した。
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