研究概要 |
高等教育における,物質科学教育用総合実験教材を開発するための基礎的研究として,本年度は(1)物質の磁気的,電気的性質について考察するためのトルク磁力計の開発と教材化,(2)物質と電磁波の相互作用による諸現象を考察するために,電波吸収体を用いた物質中の電磁波の位相速度を測定する実験教材の開発,(3)磁性体の磁気相転移と電気伝導に関する物性実験教材,(4)物質の熱化学反応と反応速度の学習についての実験教材の開発等を行った。そして,これまでに検討した物質科学教育用教材を用いた総合的学習教材について検討した。 (1)教育用磁気異方性測定装置の開発と教材化 身近な強磁性体である,鉄,ニッケル,コバルトを用いて,強磁性体の磁気異方性を測定する装置を開発し,磁気異方性を学習する実験教材の検討を行った。 (2)単層型電波吸収体を用いた物質中の電磁波の位相速度測定実験 単層型電波吸収体の1/4λ共鳴現象を利用して,整合厚みと整合周波数から,損失媒質中における電磁波の位相速度を測定する実験教材の検討を行った。 (3)磁性体の磁化率,電気抵抗率の測定による磁気相転移の観測 液体窒素等の寒剤を用いて,磁性体の磁化率,及び電気抵抗率を測定し,磁気相転移に伴うこれら物理量の異常を観測して,相転移の考察を行う実験教材の検討を行った。 (4)物質の熱化学反応と反応速度学習教材の開発 物質の熱化学反応に伴うエネルギー変化,エントロピー変化などを測定し,反応機構,反応速度等を考察する実験教材について検討を行った。 本研究で検討を行った教材を総合して,物質の物理的,化学的性質の測定による物質科学実験用教材モジュールについて検討した。
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