研究概要 |
特殊相対性理論におけるローレンツ変換によって,慣性系における同時刻が相対的になることを仮想体験するための動画変換システムを開発した。例えば,人の前を物体が横切る場合,物体の静止系に対して,人の静止系では,物体の後方ほど未来が見えるようにする。これによって,変換前の動画では,人がローレンツ短縮し,変換後の動画では,物体がローレンツ短縮している様子を見ることができる。 ・正しいシミュレーションとするためには,変換後のフレームサイズとフレームレートを変えなければならないことを明らかにし,システム上で実現した。 ・通常のビデオカメラによって撮影された動画に加え,高速度撮影カメラによって撮影された動画を変換することができるシステムとした。高速度撮影による動画を用いることで,スムーズな時刻変化を実現し,臨場感のある動画へと変換できるようになった。 ・また,USBカメラで撮影してその場で変換できるようにもし,実体験によって実感できる教材とした。 ・人の静止系で,同時刻に両手で短縮した物体の長さを測定するように見えるようにするためには,物体の静止系では,右手と左手を違う時刻にしなければならないことを体感できるので,二つの系からの解釈を理解させるのに有用な教材となった。 高速度撮影したものから変換した動画を用いて,中学生・高校生に,ローレンツ短縮について紹介する自由参加の授業を試行した。 ・アンケートでは,「難しかった」とともに「面白かった」,「また参加したい」という回答が多かった。 ・自由記述にも「図や動画があったおかげで,すこしわかったような気がします。」「すこし難しかったですが,動画はわかりやすくて面白かったです。」「動画がとても楽しかったです。でも相対性理論は難しいと思いました。」とあり,専門家養成だけでなく,初学者にもこのシステムが有用であることを確かめられた。
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