平成18年度は平成17年度に試作したソバ打ち教材の改良と3つの授業実践を行った。さらに社会への還元及び普及を図るため公開講座で社会人に対する同教材の開を行った。 1)簡単な十割ソバ打ちの教材の改良の試み 平成17年度にこの教材については難しいとされる水回しやソバを延ばす行程はほぼ解決できたが、生徒が簡単にソバを切れる道具の開発が必要とされた。そこでステンレス棒(8mm×230mm)にステンレス板の薄い板(0.15mm厚×13mm縦×200mm横)とアクリル円板のスペーサ(2mm厚×8.1mm内径×20mm外径)を用いて簡単に押し切りする道具の試作を行った。しかし、延ばしたソバ板は水分が少ないため試作したステンレス製の薄板はソバ板の物性に耐えられず変形した。さらにその道具を用いて切断したソバ麺がステンレス板間に付着し、連続的に切ることが困難であった。そば切りの道具についてはさらに改良の余地が残された。 2)授業実践 (1)学部1年生(10人)を対象にこの教材を用いて授業実践をおこなった。この実習では本報告の16年度に行った温泉卵と十割ソバ打ちを180分の授業時間内で同時に実践した。 (2)大学院1年生(3名)を対象に(1)と同様に行った。2つの実習を90分の授業内で行ったため時間の配分に問題であった。 (3)附属中学校生の2年生21名を対象に授業実践を行い、ソバ打ちの意識変化の調査を事前事後で調査した。この教材では水回しを容易にしたことから一般的に難しいとされる水回し部分への不満は少なかった。しかし、ソバ打ちが難しい理由はそば切りが難しいという回答が多かった。 3)社会への還元普及のための公開講座 社会人16名を対象に公開講座で行った。この教材に関する事前事後のアンケート調査結果から子どもよりも社会人の方が生活経験や知識の面からソバ打ちの理解や実技の習得が早いと推測された。 以上、3年間に開発した教材の問題点や評価を報告書に総括した。
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