本研究では家庭科の食物分野の4つの教材を開発し、授業実践を行った。また、社会人に対して教材を用いて公開講座を行った。 平成16年度は2つの教材開発を試みた。1)小麦粉のドウに油をつけてのばす麺教材:食用油以外、材料は通常の麺の材料である小麦粉、塩、水であり、食用油を用いて麺をのばした。この教材の大学生への授業実践は興味をもって取り組んでいたが、技術の習得には経験を要することが明らかになった。2)カラギーナンによるブラマンジェの教材:この教材開発ではこれまの教科書にあるプリンやブラマンジェでは見られない市販に近いものを作るため、プラステチックカップ容器を用意し、その上にアイロン熱でフィルムをシールしてラベルをつけたもの考案した。材料にはカラギーナン、牛乳、砂糖、コーンスターチを用い、フィルムにはパソコンで品名、原材料名、内容量、保存方法、賞味期限等をカラー印刷した糊付きラベルを自作した。これまでには見られない画期的なブラマンジェを試作できた。 平成17年度は2つの教材開発を行った。1)温泉卵の教材:温泉卵の教材は実生活に実践できる教材であり、授業時間の中で温度計と時計をみながら、卵白と卵黄の熱変性温度の差を利用して行った。この教材は大学で授業実践を行った。2)簡単な十割ソバ打ちの教材:この教材の特徴は、ソバ粉と水を混合する際の水回しと均一に麺をのばす教具にある。水回しには安価な市販の竹ばさみを用い、麺を1.5mmにのばすために2本のアクリル横板を用いて学部、及び大学院の授業、及び現職の小学校、中学校、高校教諭を対象に授業実践及び研修会を行った。この教材は高く評価された。しかし、ソバを切る道具が高価である点やソバを細く切るのに技術を要する点が課題として残された。 平成18年度は、附属中学校で授業実践を行った。生徒が簡単にソバを切れる道具の開発が必要とされた。そこでステンレス棒にステンレス板の薄い板とスペーサを用いて簡単に押し切りする道具の試作を行った。しかし、ソバ板は水分が少ないため、試作したそば切りの道具についてはさらに改良の余地が残された。以上、3年間の教材開発の成果と問題点を要約した。
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