研究概要 |
高校において必修教科「情報」が開始されたため,大学における情報関連の導入教育の内容・方法を見直す必要に迫られている。しかし,高校の普通教科「情報」はA,B,Cの3科目に分かれ,重点の置き方が異なる上,受験対策に力点を置く高校では軽視されているとの声も聞こえる。そこで,高校「情報」の実態調査を行っている。 平成17年度は16年度に引き続き,当該研究者が高校「情報」に関連する研究会・セミナー等に参加して情報収集に努め,その旅費を当該補助金から支出した。また,関東の17の高校を訪問して「情報」担当教員と面談して調査を行ったが,その中8校の訪問に当該補助金を充てた。しかし,当該研究者だけでは多くの高校を訪問できないため,当該研究者の研究室に所属している卒業研究生と大学院生,さらに当該研究者の担当授業科目の受講生など,11名の学生の協力を得て彼等の出身高校を訪問,「情報」担当教員と面談して調査を行ってもらった。さらに当該研究者の所属大学への推薦入試合格者に対する入学前ガイダンスにおいて,「情報」に関するアンケート調査を行い,そのデータ入力を学生に行ってもらった。これら学生への謝礼は当該補助金から謝金として支出するとともに,平成16年度に当該補助金で購入したパソコンでデータ入力等の作業を行った。 以上の調査により明らかになった主な点は以下のとおりである。 (1)「情報」は他教科の学習の基礎的スキルを与えることから低学年での開設が望まれているが,平成15年度に1年生で履修した高校生徒数は全国平均で61%に過ぎず,50%未満の県も少なくない。 (2)「情報」は2単位の必修教科であるが,約2割の高校で1単位分の授業時間しか割いていない。 (3)「情報」の授業がパソコン操作のスキル向上に果たす役割は小さく,そのための授業時数を縮小しても影響は少ない。 今後はさらに詳細な分析を行う予定である。
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