研究概要 |
学力テストなどにより、数値的にその能力を測ることのできる分野では、その国際比較も行われているが、音楽の技術的な能力を数値などで客観的に測ることは、今まで行われてこなかった。また、計算や漢字の練習のように、日々の反復学習によって培われるものは、生まれつきの才能や幼年期の訓練に、大きく左右されるものではない。しかしながら絶対音感に代表されるように、音楽の基礎能力に関しては、才能や、訓練を始める時期に、大きく関係すると考えられてきた。聴音をはじめとする音楽の基礎能力の育成は、学齢期のいつから始めても、日々訓練を重ねることによって十分に可能であると考えられる。本研究により、音楽の基礎能力を向上させる訓練システムを開発することで、小・中学校の音楽教師が、すべての子どもに、音楽的な才能とは関係なく、音楽の基礎能力を身につけさせることができると期待できる。 これらの知見にもとづき、初年度はまず、訓練を受ける前の子どもたちの実態調査に重点を置く研究を行ったが,平成17年度は初年度に開発した「和音聞き分け診断テスト」という聴音ソフトを改良し,midi端子付ピアノを用いてCAI教材「聴こえる?」を作成した.そして,小学5年生に対して実施し,データを取得した.そのデータ分析は最終年度に行う.さらに最終年度に向けて,日々反復練習をさせることを目的として,児童に対して1台ずつ購入したICレコーダーによる訓練教材を開発した. これにより、これまで一斉指導により和音の聞き分け練習をしていた教育現場に、個々の能力に合わせて訓練するシステムを導入することが可能となった。
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