研究概要 |
本研究は,国際宇宙ステーションなどの人工衛星を活用した科学教育プログラムの開発である.これまでに科学研究を目的とした明るい人工衛星の飛行経路や到来時刻を予報したホームページを公開し,運用を続けている.今年度は「人工衛星観測ナビゲータ」に掲載されている人工衛星の明るさを観測し、予測式を導いて、予報値を公開するためのプログラム開発を行った.また、米国の情報セキュリティ強化にともなって、従来のような人工衛星軌道情報の取得が困難になり、軌道情報自動更新ソフトを新たに開発する必要が生じたため、ソフトの開発を行った. 国際宇宙ステーションから見た地球のシミュレーションソフトについては,平成16年度に静止画版を公開したが,本研究では,3D動画配信版の開発に関する技術的検討を行った.このソフトの開発には,Matrix Engineというゲームエンジンが有効であり,このソフトで表示するための3D地球オブジェクトの開発が必要であることを明らかにした.これらのソフト開発についても本研究と密接に関連するプロジェクトとして進め,2005年9月の段階で,試作版をweb公開した. このソフトをさらに魅力的なものにするには、気象衛星の雲画像を取得して一定時間ごとに更新するようなシステム開発が望まれる.この課題についても,気象衛星画像の入手方法について調査を行い,複数の気象衛星の画像からコンポジット画像を合成して表示することは技術的に可能であることを明らかにした. 一方,こうしたソフトを活用した天体観察会についても実施し,星空のなかを飛行する国際宇宙ステーションが,児童・生徒の学習の動機づけとして有効であるというデータを取得した. このように,本研究は当初の予定を上回る成果を挙げることができた。科学教育プログラムとしての完成のためには,当初想定していなかった雲画像の表示ならびに更新システム開発、地球情報とのリンクの確立など,新たな課題が明確にできた.
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