研究概要 |
前年度にひき続き,思考の発達と知識獲得を促す協調学習環境システムの構築と学習環境システムの実働試験および改善を行った。すなわち,子どもの相互作用について,学習情報(教材)を用いた相互作用と他者の発信情報に基づく相互作用の2面から捉えた。子どもが扱いやすい学習情報の構造を開発するために,連接関係に基づくつなぎ言葉の開発を行った。また,比較的柔軟な枠組をもつXMLを採用し,学習情報や学習履歴情報を表現する枠組や,SVGを利用した相互作用の可視化ツールについて検討と試作を行なった。さらに,相互作用の中での言語運用について振り返りを支援するように,話し合いで利用したメタ情報を抽出し,構造化表示にするようなツールについても考察を行なった。 これらの成果と昨年の成果に基づいて授業計画を行った。具体的には,小学校の国語と算数,中学校の社会科地理について単元開発,協調学習環境システム開発を行い,授業案を作成した。小学校国語は静岡県の小学校で,算数は福岡県の小学校,社会科地理については和歌山県の中学校で実践を行った。それぞれの授業については,教科内容を子どもの認知に基づいたスキーマ構造によって教材化してワークシートの開発と学習環境システムのインタフェースの開発を行い,相互作用機能としてはつなぎ言葉とメタ情報等を組み込んでシステムを実装して授業実践を行った。学校の教室には教室用サーバ機を持ち込み,大学のサーバ機と連携して協調学習環境システムとして稼働させた。 また,2年間の本研究期間中に行った授業実践について,授業実践記録およびこれに基づく授業分析などを学校現場の教師に役立つよう資料として整理した。
|