研究概要 |
本研究の目的は,小学校等においてWEB利用の動向を可視化し異常発見を支援するネットワーク管理ツールを構築することである.現在,小学校等におけるインターネット利用の大半はWEBの利用であり,外部へのアクセスの中に望ましくないものが潜んでいる可能性を否定できない.そこで,ネットワークの管理者は,自組織の利用状況を適切に把握しておくことが求められるが,個人のプライバシーに配慮しながらの作業は困難である.そこで,WEBの閲覧履歴を統計的に処理し,同時に閲覧履歴を可視化する方法を提案する.この可視化された情報は、全体の閲覧動向を表したマップとなる.情報の可視化によって管理者は利用動向を直観的に理解可能となる. 平成17年度は,当初の研究スケジュールに基づいて,プロトタイプシステムの設計,構築をおこなった.まず,利用者のWEBアクセスの履歴をプロキシサーバから収集し,そこから特徴ベクトルを作成する.閲覧履歴といってもURL情報が中心であり,その他の情報を含んではいない.そこで,URL情報からHTMLファイルを収集し,そこから構文解析等により,特徴語を選び,特徴ベクトルを作成する.また,特徴ベクトルは,TF・IDFによる重みを付けることによって,特徴が際だつように調整しておく.こうして作成した特徴ベクトルに対し,SOMを用いて可視化をおこなう.可視化された特徴マップからは,WEB利用者の閲覧傾向を俯瞰することができる. 本年度は,試作したシステムを用いて,システムの評価をおこなった.実験の結果,作成される特徴マップは,利用者の閲覧動向を示していることが分かった.このことから,定期的に特徴マップを生成し,管理者に提示することによって,管理者は利用者の閲覧動向の把握がしやすくなることが分かった.本年度の研究成果は,情報処理学会の論文誌を始め,HCI2005等の国際会議で,論文や口頭発表の形で広く公開した.
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