研究概要 |
本研究の目的は,小学校等においてWEB利用の動向を可視化し異常発見を支援するネットワーク管理ツールを構築することである.現在,小学校等におけるインターネット利用の大半はWEBの利用であり,外部へのアクセスの中に望ましくないものが潜んでいる可能性を否定できない.そこで,ネットワークの管理者は,自組織の利用状況を適切に把握しておくことが求められるが,個人のプライバシーに配慮しながらの作業は困難である.そこで,WEBの閲覧履歴を統計的に処理し,同時に閲覧履歴を可視化する方法を提案する.この可視化された情報は、全体の閲覧動向を表したマップとなる.情報の可視化によって管理者は利用動向を直観的に理解可能となる. 平成18年度は,前年度の研究成果を受けシステムの設計の見直しをおこなった.とくに,社会的な問題になっているP2Pのトラフィックへの対応に重点を置いた.効果的な特徴ベクトルを作成するため,特徴ベクトルの構成と,収集方法について検討した.組織内のネットワークのトラフィックは増大する一方であり,そこから効率的にデータを取り出すには,一定の手法を確立する必要がある.そこで,ネットワークからの情報のキャプチャについて検討し,トラフィックをモニタリングするモジュールを実装した.このモニタから得られた情報をもとに,特徴ベクトルを作成する.この特徴ベクトルにTF・IDF等によって重みを付けることによって,特徴が際だつように調整する.こうして作成した特徴ベクトルをクラスタリングし,可視化する.可視化のアルゴリズムにはSOMを用いる.可視化された特徴マップからは,WEB利用者の閲覧傾向を俯瞰することができる. 本年度は,試作したシステムを用いて,システムの評価をおこなった.実験の結果,作成される特徴マップは,一定の傾向を示していることが分かった.このことから,定期的に特徴マップを生成し,管理者に提示することによって,管理者は利用者のネットワークの利用動向の把握がしやすくなることが分かった.本年度の研究成果は,情報処理学会のDSM研究会を始め,SMC2006の国際会議を通じて広く公開した.
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