本研究では、限られた計算機資源の活用で組織規模のネットワーク環境構築を支援するとともに、その環境を利用して様々な情報システム開発環境の構築をも併せて支援する、新たな情報システム開発学習環境構築手法の実現を目的としている。さらに、その学習環境下において、現在の社会ニーズに見合う高度情報システム開発技術者の育成教育が実践可能であることを実証するとともに、情報システム開発教育用コースウェアの設計・開発までを視野に入れながら研究に取り組んでいる。現代の情報システム開発は、WebベースのシステムやWeb-DB連携システムに代表されるように、ネットワーク環境下における分散システム形態での開発が主流となっており、ネットワーク環境の諸設定やシステム管理者レベルの知識が必要とされる場合も多い。現在に至るまで、ネットワーク管理者教育用途に仮想計算機環境を搭載した20台の現有ノートPCを用い、管理者教育に必要な数多くの仮想計算機イメージファイルが予め構築済みで利用されている。今年度の研究では、それらのイメージファイルと、前年度に構築した各種情報システム開発技術者教育用イメージファイルの融合手法を考察することが主たる課題となっていた。一方、大容量のNASストレージやUSBメモリ、ギガビットネットワークスイッチ等の低廉化傾向を受け、ファイルサーバによるファイルの一元管理と同様な手法で、仮想計算機バンクの構築や小型USBメモリによる仮想計算機の携帯も現実的となりつつある。このような時代背景も考慮に入れ、今年度は仮想計算機バンクやUSB計算機の性能評価も行った。今だGBオーダーのファイル転送等には想定以上の時間はかかるものの、XMLで記述した設定情報から各仮想計算機を用途別にカスタマイズするプロトタイプの評価を行うことができ、次年度の成果が期待できる段階にまで至っている。
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