研究課題
基盤研究(C)
本研究は、高度化する一途の情報システム開発技術や開発環境を背景に、教育機関等における従来型プログラミング教育の改善を主目的に開始された。システム開発の現場では、複数のコンピュータを用いた分散アプリケーションが主流であり、その実践的学習環境構築には管理者権限の付与が必要不可欠となる。したがって、不特定多数が利用する通常の情報教育設備の利用では、コンピュータの台数やシステム保守の問題等により、実践的な教育が極めて困難な状況となっていた。そこで本研究では、急速な普及を遂げてきた仮想化技術に着目し、限られた設備の活用で多様な開発環境の実構築を可能とする、新たなシステム開発学習環境の構築手法を提案した。基本的なアイデアは、Web-DB連携システムやWebサービスシステムなどに代表される典型的な開発環境の構成要素となる各種コンピュータを、仮想計算機としてあらかじめ構築しておき、学習環境の構築を手早く行えるように支援することにある。これにより、開発環境の構築段階で挫折することが多く見受けられた初学者でも、先ずはアプリケーションの開発自体に専念することができ、スキルの向上と合わせて徐々に環境構築に対する理解を深めて行くような学習形態も可能となる。また、研究2年目あたりからの仮想化ブームも研究遂行上の追い風となった。本研究では、ネットワーク上の大容量NASストレージと低廉化が著しい大容量モバイルストレージの両面から、適宜仮想計算機を利用可能としている。さらに、同じく研究2年目に概念設計が行われた本学の大規模仮想計算機演習室に対し、本研究成果の一部が貢献することともなった。すでに、100人超の授業でOSのインストールにはじまりサーバ設定を伴うWebアプリケーション開発や、少人数ながらも3台の仮想計算機を利用した環境構築の授業実践も終えており、今後のさらなる実践成果が期待されている。
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