研究概要 |
前年度までにおこなったシンボルに関する心理学的データを分析し、特に高齢者と幼児におけるシンボル理解の違いなどを中心に引き続き、日本心理学会(国内学会)とISSBD(国際学会)、で発表した。また、応用的な研究成果として、幼児の認知を助けるアニメーションを作成して、研究協力者とともにその成果を論文に発表した(Ymana Y.& Inoue, T.,2006)。そこでは、シンボルを構成要素に用いたアニメーションが幼児の配分課題の成績を高める効果があることが示唆された。また手話とシンボルの関係についても心理学的研究のレビューをおこない、その結果の2つの論文にまとめた(Inoue,2006;井上,2006)。ここでは、音声言語とシンボル、手話のコミュニケーション手段としての特徴を認知心理学的な立場から具体的に比較検討している。 なお,本研究の目標のひとつである動画を用いた絵単語コミュニケーション支援ソフトのプログラミングについては,デザイナーの林文博氏と、五大エンボディ(株)の協力を得て、「PICDIC Vers.3」として完成している。このソフトは、動画シンボル(動きを伴う視覚シンボル)を活用した、効果的な異言語間、異文化間コミュニケーション支援ソフトと位置づけることができる。従来の静止画シンボルを用いた類似のソフトに、動画シンボルを導入することを可能にしたことで、より多くの人たちを対象にしたコミュニケーション支援のツールを提供することが可能になったものと考えられる。
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