研究概要 |
本研究では科学英語ニュースをA(文・音・動画)、B(文・音)、C(文)の教材学習時の被験者の脳波を測定し解析した結果を以下にまとめる。 1.Aに関して、8チャンネル中、前頭部(Fz,F3,F4)のθパワーの増加が最も大きくFzにおけるθパワーはα波、β波に比べて平均で3倍以上大きく5%レベルで有意差があり、語彙学習に関わるワーキングメモリーにFmθが関与していることが示唆された。 2.θ波は3人共通して2日目で下がり、2日目から、3日目、8日目と上昇し、θパワーが2日目に下降した後で最高のパワー値を示した時が被験者の最高正答率になった。この結果は前回の英語リズム習得時のθ波の変化パターンの研究結果と同様である。 3.教材A,B,Cの語彙学習効果については、Aが正答率とθ波の相関が最も高く、語彙学習効果も高かった。Aの動画は理解力、記憶力を増長したと思われる。Bの音声は発話速度が速すぎる場合は2重の刺激として効果を果たさない場合も考えられる。Cは単一刺激で処理しやすいが長期でのθ波の増大は見られなかった。 4.語彙テスト高得点群(被験者A,C)と低得点群(被験者B)にθ波の出現に差がみられた。この結果はFmθがワーキングメモリー負荷に伴う「注意の制御」に関連していることを示唆している。 5.被験者Aはpre-testの段階から前頭部の脳活動が盛んでイメージ活動が活発であったが、被験者Bは学習中は他の2人の約半分であった。被験者Cは既習の語彙修得率が高く(50%)、学習時の前頭部Fzのθ波も3人の中で一番高かった。その後θ波は3日目に最高値を示し、語彙正答率も最高値になり(75%)で30日まで変わらなかった。最高正答率に到達したのは3人の中で一番早くかったが、これが学習中のθパワーが3人の中で最大であったことと関係しているのかさらに調べる必要がある。
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