小中学生の理科離れが問題となる中、様々な創造性育成教育手法が研究され提案されている。筆者は技術分野の創造性を育成するためには、ものづくりの楽しさを理解させ、かつ、論理的思考を涵養する効果的な教材や場とそれを用いる新たな教育手法の開発が必要であると考える。 創造性教育の教材や手法としてコンピュータを利用した制御を取り上げることができ、その応用性や広汎性から効果的で優れた手法であると考えられる。しかし、これには教育を受ける側にも施す側にも専門的なOSの知識や高度なプログラミング技術、さらに電子回路技術など技術的にも経済的にも高度なものが要求され、初等教育に対して容易に導入できるものでは無い。それに対し、今回取り上げた安価なワンチップコンピュータを利用した玩具などの制御は、手軽に取り組めてまた楽しく、創造性育成のための初等教育教材手法として望ましい特性を備えていると考えられる。今年度の研究では、ワンチップコンピュータプログラミングを中学生対象に教え、彼らの創造性の育成に対してこの手法がどれ程の効果があるのか評価すると伴に、これを基に、よりよい教育手法を開発することを目的とするものであり、今年度は、次に述べる講習会とコンテストを実施した。 コンテストは近隣の中学生対象に開催し、10名の参加があった。その内容は、10月の2日間でワンチップコンピュータ制御によるライントレーサ(玩具)を製作するための講習を行い、各自が製作した玩具を用いた競技を11月に開催した。製作の指導に本校の専攻科学生を当たらせ、専攻科学生の技術力アップも目論んだ。中学生と指導に当たった専攻科学生双方にアンケートを行い、中学生からは「ものづくりの楽しさが発見でき、この分野の勉強に進みたい」等の意見を得、専攻科生からは「技術の上昇があった」等、双方から肯定的な結果を得た。この内容と結果は今夏も学会発表を行う予定である。
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