本年度は、本申請の研究期間の最終年度であり、過去2年間の研究成果を整理するとともに、新たに必要となった研究調査を実行した。 本年度、本研究にとってもっとも大きなできごとは米国の「ナチス戦犯と日本帝国の資料調査グループ(IWG)」が約5年間の調査に基づく報告を、2007年1月に公表したことである(注1)。IWG報告にリストされた米国公文書は10万ページである。これは米国国立公文書館所蔵のもので、英文だけでなく、戦後米国が押収した日本語文書を含めた、関連文書が議会図書館などでも保管されている。その意味付けなどは、11の研究発表にあげた「月刊社会民主」の論文で明らかにした。 IWGが整理した資料は、RG毎にまとめて複製が作られ、米国国立公文書館で公開されている。これらは研究者に便宜を図るため、閲覧室脇に置かれ、短時間でカウンターに出てくる。これらの複製について、2007年2月から3月にかけて公文書館で実際に閲覧した。これら複製資料のリストは注1のサイトで確認することができる。 本年度は、米国、英国、それにドイツの博物館において、1930年代から40年代にかけての戦闘機を中心とする、航空機の資料を収集した。 本研究の課題である科学技術とは直接結びつくものではないが、本研究の一環として米国議会図書館での資料調査において、1910年の「天皇機関説」事件をめぐる、当時の文部省および内務省の文書を確認した(共同通信が12月16日に配信)。これはこれまで多くの研究者が米国で資料の発掘に努めてきたが、まだまだ未発見の重要資料が残っていることを実感させられた発見だった。 注1:http://www.archives.gov/press/press-releases/2007/nr07-47.html 100.000 Paes Declassified in Jaanese War Crimes Records
|