(1)資料の収集 明治初期・中期における京都ならびにその周辺の衛生(医療・保健・福祉)活動に関して保存される一次資料の調査を行い、おもに、当時日本で医療・保健・福祉活動を行った欧米先進国からの来日外国人医師な簾穎麟轄簡や記録また大衆向けの専門的雑誌を収集した。 (2)資料の通読 上記(1)の資料を通読し、来日宣教師(医師・看護師)によって記されたもの(American Board of Commissioners for Foreign Missions関係)など英文表記のものについては和訳作業を行ない、古文書については現代語訳への作業をすすめた。 (3)資料の分析と考察 文献分析の視点をマクロシステム、メゾシステム、ミクロシステム、エクソシステムにおき、分析と考察をすすめた。来日宣教師(医師・看護師)の衛生活動、宗教的精神をもつ来日外国人と欧化政策を進める日本側との相互的作用、その専門性や活動精神が日本に与えた影響、それらに対する日本側の位置づけや評価や日本において顕著になる来日外国人の近代性や活動アイデンティティと日本政府が推進する制度的医学・医療などにも注目して、資料の分析をすすめている。今後、近代医療・保健・福祉の諸相と多様性を明らかにしたい。また、公衆衛生の視座からの「癒し」のコスモロジー的研究として、2006年度に入手した京都平等寺の日誌と現在の活動に注目し、「癒し」の時代性と普遍性についての分析を開始した。
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