研究課題
基盤研究(C)
前近代の鉄つくりは、現代とは異なった製法によって行われ、その技術の解明と使用されてきた原料の産地推定が鉄文化を考える上で重要になっている。本研究では、この問題を解決するため、遺物試料中の微量元素等を定量して手法の確立を図ることを目的とした。分析法には、中性子放射化分析法、αスペクトロメトリー、EPMA(電子線マイクプローブ分析法)及び燃焼赤外線吸収法を採用して鉄関連遺物(砂鉄、鉄鉱石、鉄津、鉄塊)を分析した。特に、αスペクトロメトリーと中性子放射化分析法による成果を以下に述べる。1.αスペクトロメトリーにおいては、鉄鉱石、砂鉄、鉄澤及び鉄塊を溶解して含有しているウラン及びトリウムをそれぞれ分離し、^<238>Uと^<234>U及び^<232>Th、^<230>Thと^<228>Thの放射能を定量する方法を確立した。2.αスペクトロメトリーの結果、鉄鉱石及び砂鉄においてのみウラン系列^<234>U/^<230>Thの間で放射非平衡の関係が成立し、他の試料では放射平衡が成り立っていた。3.4遺跡からの鉄澤中のU及びThの挙動を^<238>U/^<232>Thの放射能比からみると、遺跡によりそれぞれの値が異なっていることが明らかとなり、この比が新たな産地推定の指標になりうる可能性があることが分かった。4.中性子放射化分析法においては、鉄鉱石、砂鉄、鉄浮及び鉄塊中の微量元素を数ppmレベルで定量でき、Tiとvとが鉄澤と鉄原料との問で強い相関関係を、AsとSbとが鉄塊と鉄原料との間で強い相関関係があることが判明し、これらの比は産地推定の強力な指標になりうることを確信した。5.江戸末期の佐賀県の反射炉において生産された鉄原料(鋳鉄)がこれら指標元素により、鉄鉱石由来であり、わが国で出産した鉄鉱石でないとことが推測できた。6.中性子放射化分析法により定量されたU及びTh濃度は、αスペクトロメトリーにおける^<238>Uと^<232>Thの化学回収率の検討の基準となった。
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