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2004 年度 実績報告書

イオウ同位体比分析を考古学資料に応用するための基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16500640
研究機関近畿大学

研究代表者

南 武志  近畿大学, 理工学部, 助教授 (00295784)

キーワード朱 / 硫化水銀 / イオウ同位体比 / 水銀同位体比 / 遺跡朱 / 人造朱 / 鉱石朱 / 超微量分析
研究概要

A:今年度,遺跡で使用された朱(赤色顔料)が辰砂鉱石より精製されたものか,人造のものかを判別する方法を検討した。
(1)イオウ同位体比を用いた鑑別法。
イオウの質量数32と34の割合を標準品と比較した。天然の朱について,中国辰砂鉱石の朱は+20‰,大和水銀鉱山産は-2‰,三重県丹生産は-8‰となり,辰砂が採取される辰砂鉱山で異なり,産地の特定が可能であった。これに対して人造朱は,原料のイオウが-4.7‰であれば,製造された人造朱は-5.7‰と,用いられる原料のイオウの同位体比に依存していた。このことから,イオウ同位体比からは人造か天然かの区別はつきにくいと考えられる。しかしながら,-14‰という値を示す人造朱があるのに対し,天然朱はこれほど極端なマイナスの値を取ることはなかった。それ故,極端なマイナスの値は人造朱の可能性が高い。
(2)水銀同位体比を用いた鑑別法。
次に水銀の質量数199,200,201,202の割合を標準品と比較した。その結果,201/202の標準品に対する割合をδHg‰で計算したところ,大和水銀鉱山産は-25.5±10.0‰,北海道龍昇殿鉱山産は-80.7±8.0‰となるのに対し,人造朱は+17.3±10.9と全く異なった。このことから,水銀同位体比を調べれば天然朱か人造朱か鑑別することは可能であると考えられる。
(1)と(2)から2次元図を描くとより鮮明に天然朱か人造朱かの鑑別が可能であった。そこで,遺跡より採取された朱を用いて人造朱が存在するか,現在検討中である。
B:超微量朱のイオウ同位体比測定法の開発を模索したが,非常に困難であった。その原因として,装置の専有使用が難しいことと,試料調整方法の困難さが上げられる。従来法では,朱を構成するイオウは,硫酸バリウムの形で分離し,還元して二酸化イオウガスを得,同位体分析用質量分析器で測定している。しかし,超微量朱を分析するためには硫酸バリウムの形にせず,朱そのものを直接分析する必要がある。ところが,その為には水銀が昇華し,機器内部を汚染させてしまうことが判明した。このことから,本法を用いた超微量分析法の開発は非常に困難であり,別の方法を現在模索している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Using sulfur isotopes to determine the sources of vermillion in ancient burial mounds in Japan2005

    • 著者名/発表者名
      T.Minanmi, A.Imai, M.Bunno, et al.
    • 雑誌名

      Geoarchaeology : An International Journal Vol.20, No.1

      ページ: 79-84

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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