研究概要 |
1.収縮・変形試料の作製 (1)アカガシ、クスノキ、クリを試験片として空気中および水中重量を測定し、下記の計算式により含水率を求めた。 含水率={(a-1)/a×A/B-1}×100% a(=1.47):木材の真比重 A:空気中重量 B:水中重量 (2)組織観察 木口面、板目面、柾目面の切片を切り永久プレパラートを作製し、生物顕微鏡で道管、繊維細胞の状態を観察し写真記録した。また、凍結乾燥した試験片を電子顕微鏡で観察し細胞の微細構造を調べた。 試験片を、PEG含浸法で処理を行った。PEG(4000番:平均分子量3040)含浸は、PEG20,40,60,80%水溶液およびPEG溶融液にそれぞれ60℃で短期間(1工程3.5日間)浸漬し、収縮・変形試験片を作成した。 2.変形回復法の検討 収縮の起こりやすい広葉樹のアカガシ、クスノキ、クリの出土材を試験片として変形試料を作製後、変形回復に必要な薬剤の探索、寸法回復処理条件の方法を検討した。 (1)変形した出土木材をPEG水溶液に浸漬し、濃度を序々に下げながら寸法回復を図る。 (2)塩基性のNaOH、アンモニア等に浸漬して寸法回復を図る。 (3)膨潤剤として低分子量の極性の液体で、木材構成成分と強い親和性を持つと考えられる水、ホルムアミド等で寸法回復を図る。
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