研究概要 |
濃尾平野および関東平野において、オールコアボーリング調査ならびに、既存のオールコアの見直しを実施した。これらのコア試料を対象として、第四紀層の高精度分析を行い、養老断層系桑名断層、および、深谷断層系綾瀬川断層をターゲットとした断層活動履歴の復元を試みた。 濃尾平野においては、多数の放射性炭素同位体年代測定を実施して、詳細な完新統堆積曲線を得た(山口・須貝ほか,2004)。これに基づき、桑名断層において、堆積速度の脈動と断層運動との関係をモデル化して、堆積速度変化から断層イベントを検出する方法を開発した(Sugaiほか,2005;Naruhashi,Sugaiほか,2005;鳴橋・須貝ほか,2004)。また、古水深の推定を行って、堆積曲線と組み合わせ、高分解能の相対海面変化曲線を複数の地点で復元し、濃尾平野全体の沈降速度の空間分布を明らかにすることに成功した(大上・須貝・藤原,2004,2005)。 関東平野においては、既存のオールコアを用いて、中期更新世以降の地下層序区分を行い(松島・須貝ほか,2004,2005;水野・須貝ほか,2004)、MIS9とMIS11の海成層の分布から、関東造盆地運動にともなう地盤の長期変動を明らかにした(Matsushima, Sugaiほか,2005)。深谷断層系の断層運動については、大宮台地の地形変形を明らかにするとともに(勝俣・須貝ほか,2005)、産総研のプロジェクトに参加して、反射法探査にもとづく活動性評価を行った(Sugiyamaほか,2004a,b;石山ほか,2005)。
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