申請者はこれまで、経済的中枢管理機能を指標に日本をはじめとして、先進国と発展途上国の代表的な国をとりあげて、都市システムを分析し比較検討してきた。今回の研究はロシアと中国の都市システムを同指標から分析して、これまでの研究成果と比較検討することである。ロシアについては、GRAHAM & WHITESIDE社発行のMAJOR COMPANIES OF CISを中国については、同社のMAJOR COMPANIES OF FAR EASTの中国の部分を入手し、分析を行っている。この2ヶ国は社会主義経済を終結させ自由主義経済に移行したが、社会主義経済時代のみならず、それ以前の時代の影響を反映した都市システムのすがたが明らかとなりつつある。申請者のこれまでの研究結果によれば、一国の都市システムを大きく規定しているのは政治制度である。具体的に言えば、連邦制国家であるか否かということが都市システムの特徴を決めていた。前者の場合、都市システムは一都市集中にならず分散的になるが、後者の場合、都市システムは首都を中心とする一都市集中型となる。このことを踏まえてロシアと中国をみると、ロシアではモスクワとサンクトペテルブルグが拮抗する連邦制度国家特有の都市システムがみられ、中国でも北京と上海が拮抗する都市システムがみられる。ただし、両国の歴史は同じではなく、また他の先進国や発展途上国とも異なっている。そのため、政治制度の他に何が都市システムのあり様を決めているのかを明らかにすることが今後の課題である。
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