研究概要 |
今年度は、研究の最終年度であり、研究成果のまとめを中心に取り組んだ。経済的中枢管理機能を指標として、ロシアと中国の都市システムを分析したわけだが、資料としてロシアについては、「Major Companies of Cis」(Graham & Whiteside社刊)を、中国については、同じく同社刊の「Major Companies of Far East」を使用した。経済的中枢管理機能とは、民間大企業の本社、支所のことを指すが、この資料をもちいた結果、対象企業はロシアは2,401社、中国は2,090社がこれに該当した。分析は、両国ともまず、これらの本社と支所を都市別に整理することから始められた。そして、支所配置からみた都市間結合の分析へと進んだ。その結果、両国はいずれも都市間結合は弱いものであることが分かった。これには、社会主義から脱却したばかりである、あるいは社会主義市場経済というシステムを採用しているということが関係していると考えられる。本社と支所の都市別の状況においても、両国では違いがみられた。それは、本社も支所も首都モスクワの地位が断然強いロシアと首都北京よりも数多くの支所をもつ上海が存在する中国との違いである。この差異が旧来の経済体制とその崩壊によるものなのか、もしくはもっと深い歴史や文化に由来するものであるかを今後検討する必要がある。
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