研究概要 |
LANDSATデータを利用したこの研究は、(1)GISソフトで解析した土地利用区分と衛星画像反射率による土地被覆の経年的変化の詳細な対比研究、(2)衛星画像の季節的変化に関する調査研究の2点を中心に実施した。 (1)の研究では、GISソフトを用いて、太宰府市域などで1975年と1998年の地形図から10mメッシュの土地利用データを作成し、土地利用データの差分から土地利用の経年的に変化したメッシュを抽出した。その結果、水田から一般宅地への変化(150ha)、など8類型の変化が認められた。また、1986年と1999年のLANDSATデータの各バンド別のGridファイルの反射率をそれぞれ抽出し、GIS上の同一Grid反射率について1999年データから1986年データの差分を求め、上記の土地利用変化地点との比較を検討した。両者のオーバーレイを行ない、ndvi値とb1の組み合わせで判定できる変化域が最も対応が良いことが判明した。また,土地利用の変化しなかった地点でも,広場や果樹園の反射率の年次変化は少なくないことが判明した。 (2)の研究では、2001年度の4月・5月・9月・10月・2月のLANDSAT/TMデータを比較した。5月のデータで教師付分類の手法でポイントトレーニングを行い、6分類に土地被覆を区分した。この時期と同じ基準を用いて、他の4時期の土地被覆を区分し、その図を比較した。その結果、土地被覆は経年的な季節変動を示す様子を明らかにすることができた。現地調査によって、水田は秋期〜冬期に教師付分類の手法では一見して水田内部に市街地が拡大するような変化を示す。これらの変化は土地利用区分で異なっており、水域ではバンド別反射率特性の季節変化は小さいが、水田では大きくなることなどが判明した。これらは、季節性の区分のためには有力な指標になりうることを明らかにした。
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